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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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最近小説を書く時、お供にしているのがこれなのです。

弟の友達から貰ったお茶(花梨)。
お湯入れるだけ。
本来、花梨は風邪を引いたときに私はよく飲む(というか、風邪を引くと花梨+生姜で乗り切る人)のですが、寒いので冬はやはり身体があったまる飲み物が良いですね♪

ジャムにも使えると書いてあるのですが、とても食べにくそうなので(花梨がごろごろしている・・・)

昨日はスパに行って堪能してきたので、元気な私です。

ともかく。

オフレポ京都と横浜書き上げよう・・・。
いそいそ。
Image307.jpg

「おじちゃーん、桃食べに来たー」
「マビルちゃんでねぇかぁ、よぉきた、よぉきたぁ!」

最近仲良しのおじちゃん、おじちゃんと呼んでいるけど実は26歳だと知った時には流石のあたしも眩暈。
いや、見た目も老けてるしさ、言葉遣いも最初何を言ってるのかわかんなかったし。
かなり田舎で育ってきたらしい、桃屋さんだ。

「マビルちゃんのおかげでぇ、わけぇ子が最近来てくれるんだべさぁ」
「よかったじゃん、でも、それあたしのおかげじゃないよ。桃が美味しいからだよ」
「んなことねぇべぇ、おらさ、こんな話かたしかできねぇもんで、わけぇ子、寄ってこなかったべぇ・・・。でもぉ、マビルちゃんが通いだしてからはぁ、人が来るんだべぇ。マビルちゃん、べっぴんさんだからなぁ、皆集まるんだー」

・・・ええぇっと、理解するのに時間がかかるんだよね。
ともかく、誉めてくれていることは解った。
うん、多分。
あたしはいつものカットされた桃を口に運びながら、通り過ぎる人を見つめる、ここは。
ここは、トモハルの国だ。
あたしの一応旦那の国だ。
あたしは、多分、ここのお姫様なんだ。
・・・そう、なんだよね。
でも、違和感がある。

こうして国を見てても実感が全くないのは、あたしが仕事をしてないからなんだろうな。
あたしは、おねーちゃんみたく頭も良くないし、世間知らず・・・らしい。
得意な事は自分の好きなこと。
あたしの好きなことは、国の為にはならないんだー。

「どしたぁ、元気ねぇべぇ・・・」
「ん、大丈夫だよ、あはは。・・・あたしがおねーちゃんだったら、もっとおじちゃんの店も流行るだろうに。ごめんね」
「はぁ~? 何言ってるべ? マビルちゃんが色々言ってくれたからぁ、こうなったんだべ。おらぁ、アサギ様は見たことないべぇ、ほだで、マビルちゃんの方が好きだべさ」
「あはは、ありがと、おじちゃん」
「何か、あっただか?」
「ふふ、桃食べたから元気でた。またね、おじちゃん」
「ま、マビルちゃん?」

次は何処へ行こうか、あそこへ行こう。
いつものルート、ここから右に曲がってちょこと歩いて・・・到着。

「マビル様ーっ」
「やっ。服見に来たー」
「新しいのデザインしたので、よければ着てくださいー」
「うむうむ、着てみるよ、着てみるよ!」

同じ歳くらいの子がデザイナーなんだ、このお店。
通りかかったら結構可愛かったから、最近あたしの服はここのが多いのだ。
お小遣いでちゃんと買えるし、ふりふりだけどピタ、としてるから好き。

「これ、ちょーだい」
「ありがとうございますーっ。マビル様に着てもらえるなら、作った甲斐があります」
「大袈裟だなぁ、うれしーけどさ」

あたしも、友達じゃないけど仲良くしてくれる人たちが出来た、実はちょっと嬉しかったりする。
お城より、街の方がみんな優しいし、楽しい。
・・・優しくしてくれるのは、あたしがお城のお姫様だからなのか、おねーちゃんの双子の妹だからなのか。
まぁ、別にいいんだけどさ。

「元気ないのは、何故ですか?」
「そんなことないよ、普段通り」
「・・・」

あたし。
欲しいものがあるの。
願い事があるの。

おねーちゃんに、会いたい。
あたしの、大好きな、大事な、おねーちゃん。
・・・あたし、人魚姫は嫌いだとあれだけ言ったのに。

イチゴのネックレス。
トモハルが買ってくれた安いオモチャみたいな、あれ。
あれね。
結構気に入ってたの。
あれが、ない。
どこにも、ないの。

トモハル。
あたしの言う事、ちゃんときいて。
前はなんでもしてくれた、きいてくれた。
最近、あたしはほったらかし。

高い服とか鞄とか。
美味しい食事に、素敵なお部屋。

違う、違う、今欲しいのはそんなんじゃない。
もっと小さな部屋でイイの。
もっと小さなベッドでイイの。
隣で、アンタが前みたくさ、手を繋いで「傍にいるよ」って言ってくれれば。

それでいいのに。

安心出来たし、嬉しかった。
何故かわかんないけど、楽しかった。

おねーちゃんは、一つの恋に破れて居なくなってしまったから、あたしは恋なんてしないんだ。

面倒だ。
あたしには、似合わない。
だからこの気持ちは「好き」じゃない。

傍に、いて。
ちゃんと、みてて。
あたしを、可愛がって。
あたしを、誉めて。
あたしを、好きだと言って。
何があっても、へこまないで。
何を言われても、ついてきて。
好きなら、ついてきて。
好きなら、止めて。
好きなら・・・。

あれ?

あたし、トモハルに好きだと言って欲しいの???

・・・。
あー、もう、気持ち悪い。

もやもやして、トモハルを捜したら、アイツ。
・・・楽しそうにメイド軍団に囲まれてた。
だから。

あたし。

ものすごく、ものすごーく。

気分悪いの。

何時見ても、トモハルは女の子に囲まれていたから。
無性にイライラが止まらない。
へらへらしてるのが、こう・・・潰したいくらい、大嫌いで。
おまけに、さ。
あたしには、さ。
もう、キスとかしてくれないのに、さ。
きっと、きっと、そのメイド達にはしてるんだ。
だってさ、信じられないけど。
メイド達の会話を聞いたんだ。
トモハルのファンクラブがあるんだってー。
わー、信じられないー。
あんなのの、何がいいわけー?
あたしとは好みが違うんだー。
立ち聞きしたの、たまたまね、たまたま。
あのトモハルが可愛いとか、さ。
偶に庭でクロロン達と遊んでる時の顔が、超やさしーとか、さ。
あの食べ物が好きとか、あれが嫌いとか。
・・・あ、あたし、そんなの、知らないもん・・・。
一緒にあそこへ行った、とか。
一緒にあれを考えた、とか。
・・・あたしは、そんなこと、してないもん・・・。

ふらり、とアイツに会いに行った。
トランシス・ライフ・ディアシュ。
おねーちゃんの、恋人。
あたしがむかーし、欲しいと思った、トビィに似た、きれーな男。
トランシスは、発狂して監禁されているからさ、会うのが大変だった。
けど、なんとなーく。

「ねぇ」
「・・・」

ぼーっとして、宙を見てるトランシスに声をかける。
反応、なし。
まぁいいや、ともかく。

「どーして、おねーちゃんが好きだったのに、酷い事したの?」

この男、酷いんだ。
おねーちゃんに、酷い事、いーっぱいしたんだ。
というか、殺しかけたんだよね。
返事は、ない。
じーっと、目の前のトランシスを見ていたら、不意に目が合った。

「なんだ、マビルか。・・・アサギは?」
「居ないよ」
「・・・そっか。トビィは?」
「なんか色々飛び回ってるよ」
「だろうな・・・」

それきり、何も言わず。
あたし、帰ろうと思ったの。

「大好きなんだ。だから、酷い事した」
「は?」

反応したよ、この人。

「大好きな人に、一番されたくないことって、なんだと思う? ・・・存在を忘れられることだろ? 酷い事したら、絶対に忘れずに、心に刻み込まれると思ったんだ。
独り占めしたいんだ、怖がられてもいいから、傍に置いておきたかったんだ」
「存在を、忘れられる?」
「マビルには、好きな男いないかもしれないけど。もし、そいつがさ、自分以外の誰かに優しくしてたら嫌だろ?」

・・・いないかもしれない、って、ちょっと。
や、いないよ、あーそーですよ、いないけどー。
黙っていたら、微かに笑った。

「自分に嫉妬してこない奴は、自分の事、好きじゃないんだ。どうでもいいんだよね。
それならさ、もっと自分を強烈に印象付けないと。
毎日毎日、どんな時も思い出させるんだ。
眠っていても、恐怖で飛び起きるくらいに、さ。
痛みを植えつける、首を絞めて死なない程度に剣を刺す。
頭を踏みつけて、腹部を蹴飛ばせば・・・。
罵倒し、全てを否定すれば・・・。
あはは、いいね、あぁ楽しいなぁ。
あの時は、楽しかったなぁ、恍惚だね、死ぬほどの快楽を味わった気がするね」

な、なんかおかしなこと言い出したぞ、この男。

「どうしてあの時、アサギを殺しておかなかったんだろ、それだけが悔やまれるかなぁ。
今からでも遅くないかなぁ・・・。
・・・で、マビル。
オレのアサギ、何処行った?」

声が、変わった。
マズい、トランシスが立ち上がってこっちに来るから思わずあたし、後方へ。
この男は、おねーちゃんとほぼ互角の力を持ってしまってるから、性質が悪い。
これが監禁されている理由だ、何かの拍子でこの男、狂ってしまう。
おねーちゃんと離れ離れになったものだから、恋焦がれてなのかなんなのか。
い、いやだなぁ、このあたしすら、蛇に睨まれた蛙みたく。

「答えろよ、マビル。オレのアサギ、何処に居る?」
「し、知らないっ」
「嘘だ、お前知ってるだろ」
「し、知らないってばっ」

これはまずい、逃げよう。
目の前に檻があるから、大丈夫だ。
大丈夫、簡単には出てこられない筈だもん、あたし、逃げなきゃ。
走り出したあたしの背に、トランシスの笑い声。
狂ってる、コイツ、まだ狂ってる!

「可哀想なマビル、アサギの影に埋もれて。
この先もずっと、アサギの存在が眩すぎてお前は一人ぼっち。
アサギが居れば、居るほどに、お前の存在は薄くて薄くて。
何をしても、アサギには勝てるわけもなく」

・・・そうだけど、さ。
だからどーした。
唇噛み締めて、それでも走る。

「オレとマビル、似てるんだよね。
構って欲しいんだ、でも上手く感情を表せない。
いつかお前、オレと同じ事をするよ?」

うっさいなぁ、トランシスみたく、なるもんかっ。

「嫉妬して欲しいのに、してこないのは。
トモハルがアサギを好きだからだよ」

思わず、足を止めた。
振り返って、しまった。
なんて言った、こいつ。

「知ってる通り、トモハルがマビルの傍にいるのは”アサギに頼まれたから”。
キスもしてこない、触れてもこない、それは興味の対象外だから。
好きじゃないんだ、所詮マビルはアサギの代わり。」

あたし、思わず踵を返したの。
トランシスのほうへ、寄って行ったの。

「好きだったら、マビルのことを放っておかないだろ?
傍に居ろ、って叱るだろ。
少しくらい強引に迫るだろ。
その指輪は偽りの指輪、本当の指輪はアサギのもの。
トモハルはマビルを通して、アサギを見てる。
・・・いい子だから、ここからオレを出せよ、助けてやる」

あたし、おねーちゃんの、代わり。
おねーちゃんの、代わり。
おねーちゃんの、かわ・・・

「馬鹿かマビル、目を覚ませ」

ふらふら、と、トランシスの檻に手を伸ばした。
目の前でトランシスは、きれーな笑顔を浮かべてた。
子供みたいに目を輝かせて、そっと指を檻から出して。
それに、触れようとしたら、後ろから抱きかかえられて・・・正気に戻ったの、あたし。

「トビィ?」
「マビルが入っていった、って聞いてオレも来てみたら・・・案の定。
しっかりしろ、耳を貸すな。デズ、マビルを連れて行け」

耳元で聴こえた声は、トモハルじゃなくてトビィだった。
見上げてみれば険しい顔でトランシスを睨んでる、あったかくて思わず足の力が抜けた。
あたし、緊張で身体が強張ってたみたい。
目の前でトランシスは、更に笑顔、子犬みたいに尻尾振るみたく手を伸ばす。
デズデモーナに抱きかかえられて、あたしはそんな二人を見送った。
ある意味、双子のこの二人。
双子、か。
あたしとおねーちゃんみたいなもんだ。

「おかえり、トビィ。で、どう? オレのアサギは見つかった?」
「見つからない、少し落ち着けないのか、お前は?」
「ここから出せよ、一緒に探すよ」
「・・・」

トビィがこちらに近づいてくる、後ろでトランシスが笑い転げる。
・・・うっさい。
あたし、思わず耳を塞いだ、あの笑い声、大嫌い。

「デズ、トモハルに連絡しろ、迎えに来て貰う」

部屋を離れてから、トビィが軽い溜息と共にそんな事言うから、あたし思わずデズデモーナを振り払う。
冗談じゃない。

「子供じゃないんだから、馬鹿にしないで!」
「だが、精神的にダメージが大きくないか?」
「平気っ、あんな奴の言葉なんか、別にどうにも・・・」
「・・・無理するな、少し休んで行け」

肩を叩いて立ち去るトビィ、その後ろをデズデモーナが忠実に歩いていく。
ゆっくり歩くその姿、思わず睨みつけたら。

「気をつけろ、マビル。最もアサギに近いのはお前なんだから」

妙に真剣な声でトビィが言ってきたから、あたし思わず口を噤んだの。
独りになって、散歩したらトランシスの言葉が甦ってきて、あたし。
駄目だ、ちょっと疲れた。
噴水に腰掛けて一休み、気持ちが悪い。
もし。
トモハルがあたしを好きだったら。
好きだったら。
嫉妬とか、する?
もし。
あたしがトモハルを好きなら。
好きだとしたら。
嫉妬とか、独占欲とか。
い、いやだ・・・。
これじゃ、あたしがトモハルを好きみたいじゃん。
で、あっちは好きじゃないんだ。

『好きなんだ、最初に見たときから、好きなんだ』

・・・って。
昔、昔、あたしが一回死ぬ前に、トモハルはそう言ってくれた・・・気が・・・するんだけど。
好きだったのかもしれない、その時は確かに。
でも、あたし、この間酷い事を言ってしまったかもしれないから、それで。
・・・好きでなくなったのかもしれない。
それより以前に。
あたしが居なかった空白の約、三年間。
その、間に。
トモハルとおねーちゃんは、更に親密な仲になっていたのかもしれない。
対の勇者様。
似て非なる武器を所持する、勇者の要。
狂ったトランシスより、何処か抜けてて馬鹿でお人よしそうなトモハルのほうが。
・・・いや、まてよ? 顔ならトビィのほうが・・・その他諸々、トビィが上か。
・・・でも、あれは”兄”だもんね。
あいつ、妙にアホみたいに優しいから、おねーちゃんのことも支えていたんだろうな・・・。
そもそも。
この指輪、くれた時もさ。
好きとか、何も言ってなかったしさ。
あたし、聞いたんだー、知ってるんだー。
あのお城、無関係なあたしは幾らおねーちゃんの妹でも、住めなかったんだよね。
それで、トモハル慌てたんだ。
あたしを住まわせる為には、唯一つ。
あたしがトモハルとなんらかの関係を持たねばならない、それはつまり。
嫁。
王妃。
つまり、トモハルと結婚する事。
そうすれば、お城であたしが暮らしても問題ない。
おねーちゃんにあたしのことを任されたトモハル、大事に裕福に育てるつもりだったんだろうか。
お城をくれたの。
でもさぁ、あたし。
・・・そうじゃ、なくて・・・。
噴水に手を差し伸べた、水が、冷たい。
不意に。

「あ、あれ?」

水面に映った自分が。
・・・おねーちゃんに見えた。

「へ? えええええ?」

思わず手を伸ばす、あたしの髪は真っ黒、緑じゃ、ないもの。
水面に映っているのは、緑の髪のあたし・・・じゃなくて、おねーちゃん。
ええええええええ。

『・・・、・・・。・・・』

おねーちゃん、何か、言った。
何を、言ったんだろう。
じっと、見てたけど・・・解んなかった。
あたし、そこで眠りに就いたの。
そして夢を見た。
おねーちゃんと、トモハルと、あたし。
三人一緒。
それは、とても贅沢な夢だったかもしれない、けど。
・・・とても、哀しい夢だったのは。
トモハルが、おねーちゃんを見ていたからだ。

城に戻ってみれば、そういえば最近さ、気がついたんだけど・・・。
メイドに声をかける。

「ねぇ、この城って、セミロングが流行ってんの?」

そうなのだ、ミディアムメイドが多すぎる。
聞いたら、苦笑いして小声で二人のメイドは顰めきあって。

「トモハル様の好みに合わせているんですけど・・・」

はぁ!? 何だそれ。
あまりにあたしが変な顔をしていたのか、メイド達は懐から何やら雑誌を取り出した。
表紙が、トモハル。
・・・何、それ???

「トモハル様のインタビュー記事で、ここに好きな女性のタイプが書いてあったものですから。
皆こぞってこの通りに」

思わず引っ手繰る様に奪い取った雑誌、食い入るように見つめたら。

『セミロングの女の子が可愛いと思うんだ。子猫みたいな感じの子が好き、あぁ、強気な子が好きだよ』

・・・な、何これ???
ばっかじゃないのー!? 何様ー!?
・・・国王様か。
唖然としてたら、メイドに雑誌を奪われた。

「マビル様、ご存知なかったんですか、この雑誌のこととか」
「本当にトモハル様に興味がないのですね」

・・・。
悪かったな、知らないよ、そんなくだらない雑誌。
あぁ、興味ないですよーだ、あんなへっぽこ勇者。
メイド達は意図的になのか、何なのか、雑誌を広げ始める。
思わず、気になってあたしも盗み見を。
・・・メイド達の中心で笑っているトモハルが、見えた。
死んでしまえっ!
・・・あーもー、すっごい、うざい!!!

部屋に戻って、適当に食事してお風呂もさっとすませて、肌のお手入れもそこそこに、ベッドに入って転がる。
・・・眠れない。
あーあーあーあーあーあーああああっ!
暫く、ごろごろしてたら数時間経過、トモハルがやってきた。
あたしの不機嫌、まっくす。
案の定、お布団持ち上げて入ってこようとしたから、さ。

「・・・一緒に寝るの?」
「え、そうだよ、何で?」

何でじゃないっつーの、そもそも、何で一緒に寝てるわけ?
頭にきた、きょとん、としてるコイツが、ホント、もー・・・。
手当たり次第、枕を投げた、といっても二つしかないけどさ。

「あたし、一緒に寝たくない」

子猫みたいなセミロングの勝気などこぞの女と、寝てればいいじゃないかっ。
悪いけど、あたしはっ。

「でも、ほら、手を繋がないと! マビル、手を繋いで眠ったほうが良いだろ?」

なんという、勘違い!
いつ、どこで、あたしはそんなことを言った?
あんたが勝手にそう思い込んで、手を繋ぎ始めたんでしょー!?
一緒に居たくないんだ、だって、あんたさ。
・・・あたしじゃなくても別にいいくせにー!
あたし、そこまで誰かの代わりになるような、お手軽な女じゃないんだっ。
どれだけ、罵倒しても。
どれだけ、必死に殴っても。
何も言わずにうろたえるだけのコイツ、思ったのあたし。
もし。
あたしのこと、好きなら。
違うだろ、って抱き締めるとかさ、他にすること、あるでしょう!?
部屋から、押し出したの。
呆然としてるトモハルを、追い出したの。
一人、ベッドに戻る。
あたし、間違ってない。
子供じゃない、一人で眠れる。
大丈夫。
居なくても、平気だ。
あぁもう、本当に。
このイライラは何処から来るんだろう?
あまりにもイライラしてたから、お水を飲んだ。
・・・トモハルが、取り寄せてくれてる、高いお水が部屋に置いてあるから、さ。
お肌にいいんだよね、これ。
一気に二杯、飲み干して身体中を冷たい水が駆け巡ったら、少し沸騰感が収まったから。
あたし、そっと。
ドアを開けてトモハルがいないか、捜してみた。
・・・いなかった。
土下座して、というか、外で待っててくれたらな、とか思ったんだけど。
・・・いなかった。
部屋に戻って深く溜息、気づけば部屋に、あの変な雑誌が置いてある。
趣味悪っ、自分で自分の特集を読むのか、アイツ。
パラパラ、と見ようとしたんだけど、さっきのさ、メイドに囲まれてデレデレしてるのを見たら、殺したくなりそうだったから、やめる。
表紙のトモハルは。
・・・首を締め上げたいくらい、笑顔だった。
キライだ。
・・・とても、キライ。

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